米MLM市場で大手企業がMLM事業から撤退する事例が相次いでいる。直接の引き金は、売上減や損失の拡大に表される経営難。米国内における市場規模の縮小や、元会員によるクラスアクション訴訟なども背景に、シングルレベル型のアフィリエイトプログラムに転換している。事業の譲渡や廃業は”日常茶飯事”と言える業界。しかし、事業の行き詰まりを見越した他チャネルへの転換が急速に進む事態は異例。米市場が一つの過渡期を迎えつつある。
モデル「維持できない」
9月30日、今年3例目となる大手のMLM撤退が明らかとなった。撤退を決めたのは、ウェイトマネジメント食品と減量プログラムを主力とするビーチボディ(BeachBody、米カリフォルニア州)。シングルレベル型のアフィリエイトプログラムに転換し、MLMは段階的に縮小。来年1月1日をもって終了し、26年の歴史に終止符を打つ。 事業を包括的に見直した結果、9月19日、撤退・転換計画に取締役会の承認を得たという。すでに取り組んでるD2C事業やAmazonでの販売、代理店等を想定したパートナーシップ販売も拡大していく。近年は、オンラインで提供するワークアウト・フィットネスのストリーミングプログラムも柱の一つとなっていた。 発表では、MLMの会員がアフィリエイトプログラムへの移行を希望しない可能性や顧客数の純減、製品販売量の減少といったリスクがあることにも言及。しかし、現行のMLMのままでは行き詰まりを避けられないと判断した。 同社エグゼクティブチェアマンのマーク・ゴールドスタイン氏は現行の市場力学や消費者志向に照らせば、MLMの流通モデルは「旧態依然」であり「維持していくことができない」とする声明を公表。ビジネスモデルとしてのMLMが抱える課題と複雑さは、経営難に陥っていた同社の再建に「重くのしかかっていた」とした。従業員の33%削減 再建を急ぐ必要があった事情は直近の業績から明らかだ。 23年12月期の売上は5億2710万ドル。大手の一角を占めたが、前期比は23・9%の減少だった。減収は3期連続。約8・6億ドルだった20年12月期当時の6割まで縮小させていた。 利益は、営業損益と純損益のいずれも4期連続の赤字。23年12月期の最終赤字は1億5264万ドルに達する。 この苦境を脱するため、MLM撤退にともなう人員削減にも着手する。対象は全従業員の約33%。退職プログラムの費用として600万~800万ドルを計上する一方、来期以降は年換算で約5400万ドルのコストダウンを見込むという。 【週間訪販ニュースより抜粋】
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